食い尽くし系は一人っ子に多い?兄弟がいないことで差が出る経験とは

食い尽くし系、つまり家族の料理を独り占めしてしまう人は一人っ子に多いのでしょうか

?ネット上では、食い尽くし系の生い立ちについて様々な意見が飛び交っています。

目次

「一人っ子だからワガママ」ではない

一人っ子が自己中心的になりやすいという説は、科学的には根拠が乏しいようです。 

一人っ子は自己中心的だと言われるイメージがありますが、自己中心性を証明した研究結果があるわけではありません。


実際に一人っ子の性格について調査した東北大学の研究があります。

「一人っ子の方が、きょうだいがいる人と比較して非社会的問題行動が多い」と言う仮説を立てましたが、分散分析の結果、きょうだい数と非社会的問題行動には関連がないことが示されました。

一人っ子が自己中心的な性格であるという固定観念は存在しますが、実際のデータ分析ではきょうだい数と問題行動には直接的な関連が見られないのです。

したがって、一人っ子が必ずしも自己中心的であるとは言えません。

参考:長濱裕佳・村田由紀子・守谷真美 (東北大学教育学部)「きょうだい構成と青年期の問題行動」


結局のところ、自己中心的かどうかは兄弟の有無ではなく、その子の生まれ持った特性、家庭環境や親の子育て方針など、他の要因による影響が大きいと考えられます。


一人っ子が食い尽くし系になりやすい理由

一人っ子だから自己中心的だと言い切れませんが、一方で食い尽くし系を生み出しやすい環境であることは言えそうです。

食い尽くし系につながりやすい家庭環境要因を説明します。


食べると褒められる

一人っ子の場合、子どもの頃に「たくさん食べると褒められる」という経験をしていることがあります。

親にかまってもらう時間が長い一人っ子は、食べられると褒められ、おかわりをすると「よく食べるね〜」と関心を引くことができたという

成功体験を多くしている傾向があるのです。

その自己肯定感が大人になっても無意識に続いていることが食い尽くし系の行動につながっている可能性があります。 

食事の量が家族からの愛情や承認の尺度となり、それを多く摂取することで安心感を得ようとする心理が働くのです。 

「食べれば食べるほど喜ばれた」という記憶が、他者への配慮よりも食べることを優先する行動パターンを形成してしまうのでしょう。


分け合う経験が乏しい

一人っ子の場合、食べ物やおもちゃを独り占めできる環境で育つため、他者と分け合う経験が不足しがちだと指摘されています。

 兄弟間では日常的におやつの取り合いなどが起こるため、幼い頃から他者を意識した行動を学ぶ機会が多いのです。 

食べ物を家族で分け合う場面でも、兄弟であれば対等な立場なので平等に分けることを求められますが、両親と子どもで分けるときには対等ではなく親側が子ども側に配慮したり融通したりすることでしょう。

一人っ子はそうした兄弟間の「対等な配分」という経験が乏しいため、自分の欲求を優先しがちになると考えられています。




一人っ子と食い尽くし系

以上、一人っ子の生い立ちと食い尽くし系の行動には関連がある場合があります。

子ども時代にする経験のうち、「食べれば食べるほど喜ばれた」という経験が多く、逆に「兄弟間で食べ物を配分する」という経験には乏しいことが要因として考えられます。

大人になっても食べ物の配分の仕方がすぐにわからず、食べたら喜ばれるはずだとどんどん食べ進めてしまうことにつながるのでしょう。


しかし、すべての一人っ子が食い尽くし系に育つわけではありません。

兄弟がいなくても友人と食べ物を分け合う機会は多くあるはずですし、成長する過程で他人への配慮は自然と身に付いていく人が多いと思われます。

結局のところ、食い尽くし系になるかどうかは一人っ子であることよりも、家庭での躾や教育、そして本人の特性に左右されると言えるでしょう。



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